この日南岳小屋に訪れた登山者は9人。
そのうち4人は我々のパーティ
他には偶然にも同じ北九州からやってきた女性4人組
彼女たちは、南岳小屋を訪れた後、また槍ヶ岳山荘に引き返していった。
そしてもう一人、40代の男性が暴風雨の中、大キレット方面に進んでいった。
我々は驚いたが、その後なんの緊急連絡もなさそうだったので、
無事キレットを穂高側に越えたのだろう。
つまり2006年7月17日、南岳小屋に泊まった登山客は我々だけだった。
貸切と言えば聞こえは良いが、この時すでに、
事態の異常さに気づくべきだったのかもしれない。
結局雨はまたもや1日中止むことなく降り続いた。
明日は徳沢ロッヂに予約を入れている。
つまり3000mの稜線からの下山。
この天候で我々の力量では、大キレットを通過するのは不可能なので
氷河公園コースを降り、槍沢経由で徳沢に向かうということで方針は固まった。
コースタイムは約8時間。
本日2時間しか歩かなかったツケがきているが、
槍沢まで降りてしまえば、後は簡単な登山道なのでなんとかなるだろう。
そんなことを考えつつ僕たちは朝を迎えた。