この後、僕たちは平湯からバスに乗り、
飛騨高山経由で名古屋に脱出、
新幹線で九州へ帰還した。
朝、徳沢ロッヂにいたときはほとんど
その日のうちの帰還はあきらめていたが、
まさに奇跡の生還劇だった。
結果的に、無理にでも徳沢ロッヂを出発したことで、
なんとかその日のうちに無事帰宅することができたのだが、
今考えると危ない選択である。
冷静になって考えれば、次の日の仕事を休んででも
徳沢ロッヂで待機するのが賢明だったような気がしている。
ちなみに、このときの大雨は
「平成18年7月豪雨]」として気象庁からも命名されている。
気象庁のページ
こうして、僕たちの初アルプス遠征は幕を閉じた。
一人も欠けることなく、帰ってこれたからよかったが、
かなりの危ない橋を渡った実感がある。
遠征の難しさもまざまざと感じさせられた。
でも、だからこそ、
学んだこともたくさんある。
山行日程の選択、
雨への対策
数日間の団体生活、
そしてシビアな場面での決断。
普段の日帰り登山ではできない
いくつもの経験を積めた気がする。
すばらしい景色はほとんど拝めなかったけれど、
僕たちはこの遠征を決して忘れないだろう。
そして僕たちはきっとまた北アルプスを目指すだろう。
この記憶の地を今度は晴天の下、歩いてみたいから。
(おしまい)