摩耶山までたどり着けば、ケーブルカーで下山できる。
天狗道を登っている間、僕の頭はそのことで支配されていた。
もうすでに30km以上歩いている。
おいしいビールを飲むのに十分な汗はかいた。
あとはチボリカラカラテルメで乾杯といこうじゃないか。
天候も良くなかった中よくここまで来たもんだ。
捻挫の後遺症が残っている左足首ももう限界だ。
時間ももう4時近いし、
今日は夜半から低気圧の影響で天候が荒れるらしい。
このまま進んで北アルプスの二の舞になるより、下山を選ぼう。
下山を提案する僕、そして足の限界を告げるI村氏。
さて、今回の山もここで終わりか。
と思った次の瞬間、
「俺・・いっていいっすか?」
悠然と続行を告げるY中氏
昨日のあの宣言はただの酔っ払いの戯言じゃなかったのか!
そして、やまちゃんがいくなら俺も付き合う、とM野氏
なんて2人だ!
今は天気が良いとは言え、まもなく日が暮れるだろう。
闇の中、はじめての山、しかも荒天の中を歩く恐怖は想像を絶する。
僕は一瞬下山を促そうかと思ったが、
行きたい者を止めるわけにはいかない。
とにかく、宝塚で落ち合うことを約束し、
無事を祈りつつケーブルで西宮に下りる僕とI村さん。
そして縦走を続行した2人の運命は!
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